横浜地方裁判所 平成5年(行ウ)10号 判決 1993年11月17日
東京都港区新橋二丁目九番五号中銀新橋ビル四階四一号3A
原告
ブァーセック社こと浅野雅美
横浜市神奈川区栄町八番地六号
被告
神奈川税務署長 柴崎伸雄
右指定代理人
佐久間政和
同
川田武
同
中村登
同
近藤晃
同
江本修二
同
飯嶋一司
同
長岡忠昭
主文
一 本件訴えをいずれも却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
一 被告が平成四年二月六日付でした、原告に対する平成元年分の所得税の更正処分を取り消す。
二 被告は、原告に対し、金六四八万一一六〇円を支払え。
第二事案の概要
本件は、昭和六二年ないし平成元年分の各所得税について被告から平成四年二月六日付で更生処分(昭和六二、六三年分について減額更正、平成元年分については増額更正)を受けた原告が、右平成元年分の更正処分の取消を求める(以下「本件取消請求」という。)とともに、右各更正処分により損害を被ったとして、損害賠償(以下「本件損害賠償請求」という。)を求めている事案である。
第三当裁判所の判断
一 本件取消請求にかかる訴えは、平成元年分の所得税について青色申告手続により確定申告を行った原告が、これに対し平成四年二月六日付でした被告の更正処分を違法として、その取消を求める訴えであって、国税通則法一一五条一項、七五条一項一号、四項一号により、原則として異議申立てについての決定又は審査請求についての裁決を経た後でなければ提起することができない訴えであるところ、弁論の全趣旨によれば、原告は右の前置手続を履践しておらず、しかも本件において、その履践を不要として又はこれを経ないことについて正当な理由があることを基礎づけるような事実が存すると認められないことは明らかというべきである。
二 次に本件損害賠償請求にかかる訴えは、独立の権利義務の主体とはならない、法人格のない行政庁である神奈川税務署長を被告とするもので、不適法であることが明らかである。
三 以上によれば本件訴えはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 尾方滋 裁判官 秋武憲一 裁判官 東亜由美)